君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「マリア姫に相応しい男など、あまりに厳しい条件かもしれませんが」

「そう?
愛があれば難しくないはずよ」

「そうですね。
愛があれば…」

愛があるからこそできることって、確かに存在する。
それは、カナトと神楽弥が実際に見せてくれている。

今その光景を思い浮かべてしまうのは、マリア姫にとってはあまりに残酷なことだな。

「はーあ。
早くカナトに会いたいのに。
いつになったら会えるのかしら」

「夜遅くになるかと」

「誰よりも先に会いに行くわよ。
私には、その権利があるものね」

横に立つ男が、もちろんですと返事をする。

これからも誤魔化し誤魔化し、このお姫様と付き合っていくのか?
神楽弥がいるんだぞ。

そろそろ決着つけないと、まずいだろ。

カナトは、どうする気だ?

というか、ここまで本気な思いだってことをどう受け止めてるんだろう。

あー、そこも心配だ。
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