音を紡ぐ
私の声が、忘れられない声?


真っ直ぐで、優しい。


初めて人に自分の歌った声を聞かれて、そう言われると、なんて言ったらいいか分かんなくなる。


「次の曲も歌える?なら、あのボーカルに合わせて歌ってみて!!」


斗季は興奮して私に言う。


私は言われた通りに大きく息を吸うとボーカルに合わせて歌う。


今度は1曲通して全部歌った。


歌い終わるのと同時にライブも終わる。


「今日はありがとうございましたーー!これからも皆の心に響く曲を作っていきたいと思います!今日は皆最高だーーーーー!!」


ボーカルが挨拶をしてメンバーがステージの裏へ行く。


「斗季?終わったし、行こっか!」


そう言うと私の腕を引いて歩きだす。


「えっ!ちょ、待って!どこ行くの!?」


やって止まったと思ったら、私の両肩を掴んで私と同じ背丈になるよう屈む。
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