100点テストの祈り鶴


「どうしたもんかなーって思いながら何となく鶴折ってたら、思いの外花村さんがガン見してんのが面白くて」


話掛ける事のできない私に言葉を投げかけてくれるのは彼だけだったから、気になって。その手で、綺麗に折りあげられていく鶴が私は気になったのだ。


「だったらこれに願掛けしようって思ったのが始まり」


『あれ?花村さん鶴好き?だったらこれあげるね』


その時の光景が、彼の姿が再生される。

こんな私にも懲りずに話しかけてくれるのは彼だけだったからそれがとても嬉しかった事をよく覚えている。


「ちなみに最初のお願いは『花村さんがクラスに馴染めますように』だったんだ」


これがきっかけで、机の横に鶴が吊ってある異様な光景が受けて、徐々に周りの子達に声をかけて貰えるようになり、何とか話をするまでに達したのだ。

睦月君だからこその行動で、人徳で、その恩恵を私は受ける事ができたのだ。




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