100点テストの祈り鶴
「そんな事ないよ。内心では俺、ちょっとだけ自惚れてたんだよ。これがきっかけでって」
「自惚れててもいいと思う。だって本当の事で……」
「俺ね、そんな風に一杯一杯になりながら話してくれようとする所が好きだよ」
「っ!?きゅ、に……!?」
今はそう言う話ではないと叫びたくなる。いや、そう言う話だったか。よく分からなくて頭がぐちゃぐちゃになる。
「そうやって真っ赤になる所も好き」
ふわりと笑いかけながら私に手を伸ばす。髪に触れる。
「っ~~」
「花村さんに触れたいって願った事もあったんだ。今やっと一個叶った」
なんて。と笑いながらその手はすぐに引っ込められた。
「俺が行動すれば簡単に叶う事も、叶えられなくてさ。願うばっかりだったからどんどん臆病になって。だったらこの鶴50個出来たら告白しようってまた臆病なこと思ってた」
それが、この鶴の意味。
顔が熱い。動悸が早い。落ち着いてなんていられない。気持ちが高揚する。
それでも私は伝えたい。彼の気持ちが嬉しい。彼に触れられて嫌だなんて思いもしなかった。
「っ、」
ぎゅっと自らの手を手で握り勇気を振り絞った。
「睦月君が何と言おうと、私の願いを睦月君が叶えてくれたの。だから今度は私が願いを叶えたい」
と、だけど、遠回しに言ってしまうくらいに私だってよっぽどの臆病だった。