冷血部長のとろ甘な愛情
小会議室に足を踏み入れた晴生が振り返ったので、私は体をビクッとさせる。まだ不機嫌な顔をしている。

なにをしてしまった?


「早く閉めて」

「は、はい」


しっかりと閉めてから、早々と座っていた晴生の向かいに私もおそるおそる座る。

こんな不機嫌な晴生を見るのは久しぶり。多分三ヶ月ぶりだと思う。


「あのさ、そんなにもクッキーが好きだった?」

「は? クッキー?」


なぜにクッキー?

クッキーに関係のある案件なんかあっただろうか……クッキー型のメモ帳はコロアールの商品にあるけど、私はその商品に関わってはいないし、それを展覧会に出す予定もない。


「ケーキよりもクッキーが好きか?」

「え、ケーキとクッキー? それはケーキの方が好きだけど……」


今度はケーキの話?

ケーキ型の物はあったかな?


「なら、今度食べに行くか? この前テレビで見ていて、美味しそうって行ってた店に行く? イートイン出来るとこだったよな?」

「本当に? 行く、行く! わあ、嬉しい」
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