冷血部長のとろ甘な愛情
掴まれている腕を見ながら「あの」と睨むが、「ん?」と短い一言で返される。「ん?」じゃない。私の視線がどこにあるか気付いてください。

なんで呼ばれたか理解していない様子にため息が出る。

言わないと伝わらないのか……この鈍感男は。


「離してもらえませんか?」

「ああ、悪い。痛かったか?」

「いえ、そうじゃなくて……」


掴んでいた場所をさすったと思えば、今度は手を握ってきた。腕を離して、手を握れとは言っていない。的外れな行動をされて、今度は深いため息が漏れてしまう。

伝わらないもどかしさからか喉がものすごく渇く。ジョッキにまだ半分以上残っているビールを飲みたい。だけど、片手が塞がっている。片手だけでも軽々持てはするけど、もう片手も使って安定させたい。


「あの、離してくれません?」

「何でだよ?」

「自由に動かせないと食べたいものも食べれないし、不便なんです」

「ふうん」


納得したのだかどうだかは分からないが、とりあえず離してくれた。これで心置きなく飲めるし、食べれる。

しかし、隣からの視線が気になる。
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