冷血部長のとろ甘な愛情
私は自分がいた場所に戻らず、坂本くんの隣に座った。案の定、決定事項を言った人はこちらを睨んでいるけど、気にしない、気にしない。

業務時間外なんだから、従わなくてもなんの問題はないはず。


「飲みすぎたんでしょうかね?」

「ちょっと風邪気味だと言ってたし、疲れたのかも」

「あー、体調が悪いと酔いも回りますよね。神原さん、どうぞ」

「ありがとう」


坂本くんから私が使っていたジョッキを渡される。ぬるくはなっているが、まだ残っているビールを飲む。飲み終わると新しいジョッキと交換された。

ぬるいのでは物足りなかったから、すぐに冷えたのを飲む。坂本くんも同じように届いたばかりのビールを飲んでいた。


「あー、美味しい」

「やっぱり冷たいほうがいいですよね」

「おい、俺が言ったこと忘れてるのか?」


目の前からひしひしと感じる視線を無視して、私と坂本くんは奈由ちゃんの心配をしながら、穏やかに飲んでいた。

そんな様子を部長が大人しく見ているとは思わなかったから、声を掛けられるのは想定内。
< 32 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop