冷血部長のとろ甘な愛情
「どうも、お疲れさまです」

「二次会に出なかったくせにまだ帰ってなかったのか?」

「ええ、ちょっと用事があったので」

「ふうん」


下車する駅まであと三駅……早く降りたい。

緩いカーブで車体が揺れ、私の前にいた部長に後ろにいた男性がぶつかった。その拍子に部長もバランスを崩し、私との距離を縮めた。

私にまでぶつかると思ったが、部長が咄嗟に後ろのドアに手を着いた。ぶつからなかったことに安堵するが、息がかかりそうなくらい近い。

一瞬ドキッと心臓が跳ねたが表情は変えない。


「離れてください」

「ん、悪い。……なんでお前……」

「はい?」

「石鹸のような匂いがするんだ? それに内側の髪、濡れてないか?」


石鹸のような匂い?

髪が濡れている?

それって……言われたことを繋げてたどり着いた光景はさっきまでホテルにいたことで、知られたくないことだ。


「ちょっ、離れてくださいってば!」


首の後ろに手を滑り込ませ、髪の状態を確かめてくる部長の胸を思いっきり押した。
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