冷血部長のとろ甘な愛情
課長がさっきよりも大きな声を出すと、「よろしくお願いします!」と全員の声がきれいに揃った。


「これでよろしいでしょうか?」

「ああ」

「それでは、みんな業務を始めてください」


課長がパン、パンと二回手を叩いて、今度こそ解散となった。心なしかみんなの顔が引き締まって見える。確かに挨拶は基本だ。

やっと1日が始まった。


それから一時間後。


「神原主任って、誰?」

「私ですが?」

「ふうん。ちょっと来て」


早速部長からお呼びだしだ。一緒にフロアを出て、ミーティング室に入り、向かい合った。顔はいいけど、この上から目線な感じは苦手だな。

上司だから仕方がないのかなとは思うけど、年齢がそんなに変わらないと思うと、なんとも複雑な気持ちになる。


「まず簡単に自己紹介してくれる?」

「神原夏鈴(かんばらかりん)と申します。入社して八年になります」

「八年ね、年齢は30?」

「はい、そうですが、なにか?」


聞き返すとじろりと睨まれる。そんな目で見られても怯みませんけど?

気分はよくないけどね。


「ずっとこの部にいるのか?」

「そうですが、なにか?」
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