冷血部長のとろ甘な愛情
部長は会議が始まってから15分後に来て、静かに課長の隣に座った。

当日のスケジュールについて詳しく説明していた坂本くんが部長の出現に動揺するかと思ったが、顔色ひとつ変えないで淡々と続けていた。

よかった、いつもの何事にも動じない坂本くんだ。

丁寧で堂々とした説明に抜かりは全くないし、それに対しての異議もなかった。

マーケティング側の説明も滞りなく終わり、最後はまた坂本くんがしめる。


「何か質問や意見はありますか?」


私はチラッと部長の動きを見た。ここで何か言う人がいるとしたら部長だけだろう。資料に目を通していた部長は顔を上げて、坂本くんを真っ直ぐ見る。

何かあるのだろうかと思われたが、何も発言することはなく再び資料に視線を戻した。

私はホッと胸を撫で下ろした。きっと坂本くんも同じ思いに違いない。

メンバーが会議室を次々と出て、私と坂本くんだけが残った。

ざっとテーブルの上に見回すと課長と部長がいた辺りにボールペンが1本残されていた。課長が忘れたのかな。あとで持っていくか……。
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