冷血部長のとろ甘な愛情
そのポールペンを持ってから、資料に何か書き込みをしている坂本くんのところに行く。


「お疲れさま。完璧だったね」

「お疲れさまです。緊張しましたよ」

「そう? 堂々としていたから見ていても安心できたよ。さすがだなと思った」

「夏鈴さんは誉め上手だよね。まあ、誉められて悪い気はしないけどさ」


かなり緊張していただけにその後の緩みも大きいようで、坂本くんは珍しく砕けた口調になっていた。

オフィス内でも二人だけで話すことは今までもあったけど、絶対に真面目な態度を崩すことなく敬語で話していたからこんなふうに話すのは本当に珍しいというか初めて。

私は誰も入っては来ないだろうかとドアを気にした。

だけど、やっぱり今日の坂本くんはいつもと違い、注意力が散漫しているように思える。

だからなのかテーブルに置いた私の左手に自分の右手を重ねてきた。


「坂本くん」

「ん?」

「手」

「いいじゃん、手くらい」


そんなオフィスでのらしくない軽い言葉を発した坂本くんは重ねた手に力を入れ、顔をこちらに近付けてきた。
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