冷血部長のとろ甘な愛情
いろんな不安がよぎる中、部長は私の名前を呼んだ。


「話があるからミーティング室に来てもらっていい?」

「はい」


私には話すことは何もないけど、呼ばれたら行くしかない。坂本くんに「あとで」と目配せしてから会議室を出て、ミーティング室に部長と入る。


「さっきの文具フェアなんだけど、一緒に行かないか?」

「はい? 部長と私でですか? でも、私たちは参加予定にはなってないですよね?」

「だから、聞いているんだよ。午後の一時間くらいどんな様子か見てみたいと思ってね」

「あー、そうですか。まあ私もちょっと見てみたいとは思っていますが」


大学での文具フェア参加は初めてのことなのでどんな感じか他のメーカーの様子や学生たちの反応など気にはなる。

見に行けるものから見に行きたいが、それを部長と二人で見て回るのは仕事とはいえ遠慮したいところだ。一人で回る方が気分はらくだし。


「その日の午後の予定は?」

「えっと、午前中に打ち合わせがあるだけで午後は何もないですが」
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