冷血部長のとろ甘な愛情
「まあ、いい。神原さん行くよ」


私はまた部長に引っ張られ、坂本くんを振り返ると彼は小さく手を振っていた。多分自分が何も言われなかったことにホッとしていてるに違いない。

どうして私だけまだ振り回されるの?

坂本くん、ずるい!

これから私は何を聞かれるのか?

何をされるのか?

繋がれた手の先にある険しい顔を窺い見るけど、何を考えているのか読み取れない。

何も考えていないとありがたいけど、そんなことはないだろう。


ほどほどに電車内は混雑していたが、ちょうど二人分空いたのでそこに並んで座った。まだ手は繋がれている。降りるまでこのままなのかな。

寝た振りでもしようかと目を閉じると隣から声が聞こえた。


「坂本と付き合っているのか?」


ストレートに聞かれたが、答えは二つに一つしかない。正直に伝える。


「いいえ」

「ふうん。じゃ、どんな関係?」

「会社の先輩後輩です」

「ふうん。体の関係は?」

「……っ!」


核心に迫った質問に思わず息を呑んでしまう。やっぱり坂本くんも見られていたのかも。
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