冷血部長のとろ甘な愛情
そういえば、この人はあの辺りで何をしていたのだろう?

坂本くんと行った居酒屋がある通りには他に数件の飲食店が並んでいる。ホテルはその通りと交差している別の通りにあった。

まさか同じ居酒屋にいたとか?


「部長は夕食をどこで食べました?」

「質問に答えないというのはあると解釈していいのか? 神原さんたちがいた居酒屋で食べたけど。といっても、君たちと入れ違いに入ったんだけどね」

「そうですか」

「同じ会社に勤めているのだから、食事をすることはあるだろうとは思ったけど、それ以上もあったわけだ。でも、隠している?」


この人はきっと勘の良い人だ。少しの事実だけで全てを読み取るような力を持っている。

だけど、隠していると感じたならその事には触れずに見て見ぬ振りをするというのが大人ではないだろうか。

大体私と坂本くんの関係が何であろうと部長には関係ない。迷惑も掛けてはいない。


「そうですね。人には知られたくないので誰にも話さないでいてもらえると助かります」

「分かった」
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