冷血部長のとろ甘な愛情
信用できる人かどうかは別として、このことについては部長の心に止めておいてくれるようだ。

でも、誰にも話さないで密かに続けてきた関係もそろそろ終わらせる頃なのかもしれない。今日のようにオフィスでも接近してこられたら、他の人にもばれる危険性だってある。


「明日の夜、うちに来ないか?」

「えっ?」

「明日は金曜日だろ? だから、来いよ」

「だからって……なんで?」


金曜日だから来い?

いつもいつも部長の行動や発言は意味不明だ。

誘い方が変だ。

金曜日だからという理由で「行きます」と答えらるわけがない。だから、断る。


「明日は友達と食事の約束をしているので無理です」


約束なんか何もないけど。


「そうか。じゃあ、また今度でいい」

「はあ、そうですね……」


何で誘われたのか分からないし、なぜまた誘おうとしているのかも分からないけど、出来るだけ関わりを持ちたくないから今は適当に返答しておけばいい。

私の返事のあとは無言となり、電車を降りて改札を出てから向かい合う。手はやっと離された。
< 59 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop