冷血部長のとろ甘な愛情
通路の真ん中で立ち止まっていたから、他の人の通行の邪魔になっていた。私もここからは移動したほうがいいのは分かっている。

言われた通り通行の邪魔にならない端によって、再度向き合う。


「何のためか? 夜に一人で歩くのが心配だから送りたい」

「毎日歩いている道だし、もっと遅い時間に帰ることもあるので心配無用です」

「頑固だな。……君とまだ一緒にいたいから送りたいと言うのが本音なんだけど、それでもダメか?」


本音を言うのが恥ずかしいのか言い終わったあとに視線を逸らした。

一緒にいたいからって、なにそれ?

いまだに言われていることは意味不明なのに私の心は一瞬大きく揺れ動いてしまう。


「で、でも、部長は私が嫌いなんでしょ? 嫌いな女と一緒にいたいとか意味が分からないんですけど」

「君みたいのは嫌いとは言ったけど、君のことは嫌いじゃない。むしろ好きなんだと思う。なあ、いいだろ?」


今度は視線を逸らすことなく真っ直ぐ見つめて「好き」だとか信じられない言葉を言い、顔を近づけてきた。
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