冷血部長のとろ甘な愛情
「そういうことだから、俺のことを頼むよ。神原さん」

「頼むって、子供じゃないのにおかしなことを言いますね」

「ほら、俺は寂しがりやだから一人はかわいそうなんだよ」

「は? 何を言っているんですか」


寂しいから一人にするなと?

でも、寂しくないと言ってなかった?

私は心の中で盛大にため息をついた。結局当初の予定通り、二人で見て回らなくてはならなくなったし、寂しがりやの人を頼まれるし……気が重い。

それでも目的を果たそうと建物内へ入ろうと歩く。その時、前から男子学生と話ながら歩いてくる坂本くんが見えた。

坂本くんも私たちに気付いて頭を下げる。


「部長と神原さん、お疲れさまです」

「ああ、お疲れさま」

「坂本くん、お疲れさま。どう? 忙しい?」

「まあまあです。でも、楽しいですよ。中、見に行くんですよね? かなりすごいのでぜひ見てきてください」


坂本くんはもう一度頭を下げて、学生とコロアールのブースへと向かっていった。

その後ろ姿をぼんやり見送ってから前を向くと私を見ていたらしい部長と目が合う。
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