冷血部長のとろ甘な愛情
祖母から何枚もらったかははっきりと覚えていない。中学生や高校生の時にも「素敵なのがあったから」と何度か新しいのを買ってくれて、そこにまた刺繍してくれた。

正確な枚数は覚えていないけど、誰かにあげた記憶はない。自分の名前が入ったものを人にあげたりはしない。


「返さなくちゃと思っていたんだけど、返しそびれてしまっていてね。いつの間にか君は塾をやめていたし」

「塾?」


なぜここで塾の話になるのだろう。

それに今の話からすると私が部長にハンカチを貸したことになる。

部長に貸した?

なぜ?

ハンカチを人に貸すような状況があっただろうか。あ、もしかして私が落としたのを部長が拾ったとか?

それなら有り得るかも。


「全然思い出せないみたいだね。俺にとってはかなり印象的なことでまた会えるなら会いたいと何年も願っていたのに。で、もう無理かと諦めて数年経った頃に会うなんて運命なんじゃないかなと思ったりもしたのにさ。まさか同じ会社に勤めているなんて想像もしなかったからね」

この人は何を言っているんだろう?
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