冷血部長のとろ甘な愛情
それをさせてもいけない。彼とのセックスは好きだけど、何回体を重ねても彼は彼女のもの。

昨夜彼女の気持ちを考えたとき、自分のしていることはいけないことなんだと罪悪感に陥った。今頃相手の気持ちを思うのは遅いけど、もう裏切ってはいけない。


「坂本くん、もう終わりにしない?」

「ん? 何を?」


焼き鳥の串にかぶり付こうとしていた坂本くんは何を言い出したのかと怪訝な顔で私を見る。


「こんなふうに食事をすることもホテルに行くとこも終わりにしようよ」

「なんで? 今日はどうするの?」

「今日はご飯を食べて終わり。理由は誠実な関係じゃないから。今さらなんだけど、やっぱり彼女に悪いと思う」

「夏鈴さん、好きな人出来た?」

「え、ううん」


私に好きな人が出来たから、その人のことを思ってやめたいと言っているのだと思っているみたいだ。好きな人は出来ていない。

恋愛感情がなく、お互いに割り切ってやっていたことだが、いつまでも続けられることではないのは分かっていた。
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