冷血部長のとろ甘な愛情
部長が今、住んでいる家はおじいさんとおばあさんが住んでいた家でよく遊びに行っていた場所。きっと大好きな場所だったから住むことを決めたのだろう。


「そうだったんですね。でも、あのあと一度も会わなかったですよね?」


夏休み中、私は何度も自習室を利用した。その時に何度かあの泣いていた人がいないかとざっと姿を探した。彼が元気になったか気になっていたからだ。

だけど、一度も姿を見ることはなかった。


「あの年の夏休みはアメリカにホームステイしていたし、その後も君とは時間が合わなかったみたいだしね。正確な学年も名前も知らなかったから、ただ同じ塾にいるということしか分からなくて、いつか会えるだろうと楽観していたけど結局会えなかった」


高校生でも曜日と時間が同じで何度も見掛ける人はいた。部長とは曜日も時間も違っていたようだ。

その後、受験勉強に忙しいこともあって、彼のことは私の中で薄れていった。
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