冷血部長のとろ甘な愛情
「仁史さん……本郷専務の机の上に中学生と撮った写真が飾ってあるのを見つけて、そこに君が写っていたから君のことを聞いたんだけど、二週間くらい前にやめたと聞いて、学校や家を訊ねるわけにもいかなくて返すことを諦めたんだ。いつか偶然会えることがあったら返そうと思ってね」


冬休み、みんなで合格祈願にと神社へお参りに行った。本郷専務が引率してくれて、そこで写真を撮っていて私も同じ物を持っている。

私は私立高校を第一希望にしていて、二月には合格を手に入れることが出来たから、他の子よりも早くに受験勉強を終えて塾をやめた。高校生になってからも続ける予定はなかった。


「偶然なんてそうないですよね。同じ会社にいたとしても部署が違うと会うこともないですものね。専務が上司になったときは驚きましたけど。あれ? そういえば前に私が生徒だったという話をしましたよね? あのとき、部長は……」


専務のことを話していて、ふとあることを思い出した。私は首を傾げる。
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