冷血部長のとろ甘な愛情
部長がまだうちの部に着任したばかりの頃、専務との関係を聞かれた時があった。写真に写っていた私を見たことがあるなら、わざわざ聞かなくても分かっていただろうになぜ聞いたのか。


「写真を見たときに君の名前は聞いていなかったけど、ハンカチの刺繍でカリンと言うんだろうなとは思っていた。だけど、15年も経っていたから、本当にあのときの子なのか、それともただ偶然名前が同じだけなのか確信が持てなかったんだよ」


それで、親しそうに話をする専務と私を見て、上司と部下という関係だけなのか、他に繋がりがあるのか……聞いてみたそうだ。

専務は昔一緒に写っている写真の私を部長に聞かれたことは覚えていなかったのだろう。

部長も私との間にあった出来事を話していなかったらしい。


「偶然にでも君にもう一度出会えてよかった。君には記憶に残ることのない出来事だったかもしれないけど、俺にとっては宝物のような出来事だったんだ。ずっと忘れることがなかった。本当に会えて嬉しい」
< 99 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop