強がり女の唯一の男
日曜日になって、私は朝から携帯を見つめている。
・・・でも、電話の着信は無い。
「小雪、今日も家に居るの？」
母が訊いてくる。
「うん」
「昨日も家に居たけど、安達君とデートとかの予定は？」
「無いよ」
「ねぇ、本当にうまくいってるの？　全然デートしていないじゃないの」
・・・確かに全然デートに出かけていない。
「そうなんだよね・・・もう・・・ダメなのかも・・・」
「小雪？」
「ああ、なんでもない」
「小雪は安達君のこと好きじゃないの？」
「え？」
「デートできなくても平気でいつも仕事してたわよね？」
「・・・うん」
「仕事、やりがいがあって頑張ってるんだろうからお母さんは応援してるけど、自分の幸せ、逃がしちゃわないか心配だわ」
母の言葉が重くのしかかる。
私にとっての幸せってなんなんだろう？
仕事で成功することが私にとっての幸せだと思っていた。
今まで頑張ってきたことを認められたのが嬉しくて、期待を裏切りたくなくて、がむしゃらに仕事して。
彼氏である安達君を二の次にして・・・。
そういう生活が私の幸せだった？

安達君が私の仕事に理解を示してくれて、応援してくれてるからと、安達君に対する思いやりが全くなかった。

だから安達君は浮気したの？
まさか、本気ってことは無いよね？
もしも、あの電話に出た女性のことが本気なら、すぐにでも別れ話をしてくるんじゃないだろうか？

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