強がり女の唯一の男
2話
「今日さ、飲み会」
「そうなの? 急だね?」
「うん、新しい企画が通ったから祝杯」
「通ったの!? 良かったね!おめでとう!!!」
「ああ、池上は今日も残業?」
「ううん、最近 残業続きだったから早めに帰ろうかと思ってるの」
「マジで!? うわぁ~、タイミング悪いな」
「え?」
「あれ?・・・残業しないなら俺と会うとか思ってなかった?」
安達君と最近こうやってランチを一緒にしかしていない。
久々に夜に会おうって思って当然なのに、私ったら帰ってゆっくりしよう。だなんて思ってた。
「・・・あ、でも、これからはあまり残業しないようにするから」
だから、今日 会えなくても大丈夫でしょ?という意思表示。
「そっか。 俺、飲み会 解散したら電話する」
「え、うん?」
「もし、時間遅くなかったらさ・・・会えるかもしれないだろ?」
「え~? 今日じゃなくてもいいよ。 さっきも言ったでしょ?これからは残業しないようにするって」
「そうだけど。 俺は池上と一緒に居たいって思ってるんだけどな・・・」
小さく呟いた安達君の台詞に笑みが漏れてしまう。
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