強がり女の唯一の男
私達はすぐに裏通りの古めかしい喫茶店に入った。
同じ会社の人に訊かれたくない話になることが予想できたから、今まで入ったことの無いお店を選んだ。

「どういったご用件ですか？」
私が訊くと、
「私、本当に池上さんと安達さんが今でもお付き合いされている事は知らなかったんです」
・・・本当に？と私は怪訝な顔をしてしまったと思う。
「本当です！　派遣仲間が安達さんと同じ課に配属されて、その子に会いに行く度に安達さんの優しい笑顔に・・・恋していたんです」
「そうですか」
「彼女が居るなんて知らなかったんです」
「・・・私と安達君、頻繁にランチを一緒にしてたんだけど？」
「安達さんと池上さんが仲が良いということは気づいていました。
気になって周りに訊いてみたら、お二人が付き合っていた時期があった様だけど今ではただの仲の良い同期だと聞いていました・・・私も付き合っている雰囲気ではないと勝手に思っていました」
あまりに仕事ばかりを優先にする私は、安達君と別れているって思われたのか。
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