EGOIST
「俺達は病欠の伯母上の代理だ。な、ギル」

それまで黙っていた若い男―――ギルバート・ハーヴェイは頷いた。

「そういえば、アパルト系の会社の社長でしたっけ」

納得した、というようにエレンは頷いた。

「こちらは祖父の付き添いです。こういう場に出ることも増えるだろうから、経験しておけ、と」
「まぁ、フェアファクスは今となっては大手IT会社と警備会社の運営者とその親族だからな。こういうところに呼ばれることはうちより多いだろうな」

そう言い、アーロンはカラリと笑った。

と、視線を向けていた客の中、それまで客と話をしていたヒューがエレンに向かって手を上げるのが見えた。

「お呼びのようですね。それでは私はこれで。また連絡します」
「おう、頼んだ」

エレンはアーロンに向かって会釈し、それにアーロンは軽く手を上げて答えた。
そして今度はギルバートに向かって軽く会釈をすると、ギルバートもまた会釈した。

そうしてエレンは自分を呼ぶヒューの元へ足早に向かった。




< 100 / 230 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop