EGOIST
そんなものには必要以上に近づかない方がいい。
エレンには祖父であるヒューのであるとはいえ、手を貸してくれる同じ世界の住人はいくらでもいる。
そちらに頼め、と言えばエレンは「そうですか」と言い、その通りにするだろう。

そうしないのは、それをすると非日常が終わってしまうからだ。
日常だけでは飽きてしまう。
そんな日常の中に時折非日常を持ってくるエレンは、ダンテにとって貴重な存在だった。
それを失うのは惜しい。

これが、エレンが当主を継ぐまでの後少しの時間の関係だとは理解している。
だが、せめてもう少しこの非日常を楽しみたい。
そんな、自分勝手な欲のために、彼はエレンとの関係を続けている。

それはエレンもたいして変わらない。

エレンは必要以上、ヒューとその部下の力を借りたがらない。
それはこれからのことを考えての事でもあるし、過去の傷から来るほんの少しの恐怖心からでもある。
だからと言って誰でもいいかと言えばそうでもなく、必要以上の詮索をせず、一定以上の戦闘能力のある人間、と考えた時に当てはまるのはエレンの周りにはダンテが適任だったのだ。
だからエレンはダンテに声をかける。
これが自分勝手以外の何だというのか。

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