EGOIST
その男は死刑囚であり、執行されるまで檻の中で過ごすはずの人間だった。
資料上は病死ということにされていたが、問い詰めてみたところ、政治家が裏から手を回し、男を刑務所から出したということが判明した。
それから彼らが何を企んでいるのかを探るべく、政治家がよく通っていたバーのバーテンダーになりすましたり、ヒューに頼んで人を借りて監視を始めた。

実はバーで自分の情報を流す政治家と若い男のやり取りを聞いていたので、実はヒューがイアンやダンテを使って若い男を捕まえさせ、記者に制裁を加える前から彼らのことは知っていた。
しかし、優先順位は自分の情報が流れる事より行方をくらませた死刑囚についてだったので放置していた。
それがその日から3週間後の騒動に繋がるわけだが―――。

あれから1ヶ月半経過するが、これと言って大きな動きは見られない。
エレンの事を素人の記者伝とはいえ調べていたということは何かしら仕掛けてくるのかと思っていたのだが、今のところその様子もない。

「そういえば、頼んでいた情報は」
「へいへい、調べてあるぜ」

言いながら、イアンはディスプレイに向き直り、ファイルを1つ開く。
開かれたファイルにはと人1人分の個人情報が記されている。

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