EGOIST
そう言い、フィランダーは肩を竦めた。

「…………目的は何ですか」
「それは君をここへ連れてきた事かな?それとも、今の仕事についてかな?」
「両方です」

問いに対して、エレンは即答した。
それに、男は楽しそうに笑った。

「仕事については話せないな。守秘義務、というやつだ。ここへ君を連れてきたのは君に会いたかったのと、君がここにいると彼らに会えると思ったからだ。ほら、だってギルバートは君の弟で、ダンテも君の知人だろう?君が捕まったと知れば、彼らはきっと君を助けに動くだろうと思ってね」

フィランダーの言葉に、エレンの中で湧き上がってくる感情があったが、それが表に出てくる前に押さえ込んだ。

「………彼らが来たとして、どうするつもりですか。彼らは今更、貴方の手元には戻らない」
「だろうね。大丈夫、そんなことをするつもりはないよ。ただ試したいだけさ」
「試す?」

エレンが眉間に皺をよせ、聞き返す。

「かつての私の最高傑作と、今回の最高傑作。どちらが優秀であるか」

フィランダーは心底楽しそうに肩を震わせた。

「最高傑作とは、あの2人と、後もう1人の事ですか?」
「おや、知っていたのかい?………あぁ、そうか。君はマーシャに会ったのだっけ」

エレンの問いにフィランダーは首をかしげるも、すぐに答えに至ったようで納得する。

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