EGOIST

3

エレンは目を閉じる。
寝ているわけではない。
ただ、閉じているだけ。

声を荒げても、脱出を試みても、それに意味がないことをエレンはここへ来た時点で理解していた。
ならば、今は無駄なことをせず大人しくしていた方がいい。
早々にそう結論付けたのだ。

「落ち着いていらっしゃるんですね」

静かだった牢に声が響いた。

目を開ける。
鉄格子の向こうに、3人の姿。
うち2人は既に会っている。
もう1人は所見だ。
金髪の少女と、黒髪の少年と少女。

「泣いて叫べば出してくれるのならそうしますが、出してはくれないでしょう?」

そうエレンが言うと、金髪の少女は酷くつまらなさそうにした。

「それで、何かご用ですか?」

「ただ様子を見に来た、というわけではないでしょう?」とエレンは尋ねた。

「ダンテ・バスカヴィルとギルバート・ハーヴェイについての情報をいただきたくて」
「教えると思います?」
「命はないと言っても?」
「教えません。それ以前に貴方達は私を殺すつもりがない。殺すにしても、今ここではない」

エレンは静かにそう言った。
まるで、自分の生死が他人事のように思っているようにも聞こえる。

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