EGOIST
「だいたい、あの男がその許可を出すとは思えませんね。あの男は他者をモルモットにすることに何の罪悪感も抱きませんが、命をただ殺すことを無駄なことだと言って嫌いますから」
「………あの男の事、詳しいんですね」
「人を見る目はあると自負していますし、昔、随分調べましたから」

さらりとエレンは言った。

「こちらからも質問してもよろしいですか?」
「えぇ、どうぞ。答えるかどうかの保証はありませんが」
「貴方方は、マーシャ・スキナーの子供、リリィ、エーデルワイス、ノエルですか?」

エレンは尋ねたが、その言葉は確信しているようにも聞こえた。

「…………何故そう思うんです?」
「面立ちが、彼女にそっくりです。後は、彼女に子供が生きていると偽る理由がない。スキナー夫妻が娘のために嘘をつくなら分かりますが、あの男がそれをする理由はない」

エレンの答えを、金髪の少女が鼻で笑った。

「でも、おかしいですよね?私達がマーシャ・スキナーの子供だとしても、年齢が合いません。私達、貴女と同い年ですよ?」
「それは見た目だけでしょう。あの男の手を加えられている、という時点で外見年齢は当てになりません」

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