EGOIST

6

フィランダーはエレンを引っ張り、モニタルームへとやってきた。
そこにはあの部屋に配置されたカメラからの画像がいくつものモニタに表示されている。

「さぁて、どうなるか楽しみだ」

フィランダーはエレンに背を向けているため、その表情をうかがうことはできない。
だが、声の感じからして、おそらく心底楽しそうに笑っているのだろう、ということは予想がついた。

エレンは視線だけで回りを確認する。
窓もなく、光源がモニタだけという薄暗く狭い部屋だ。
そして、背後には見張りをするかのように立ちはだかる犬のような獣が2頭。
だらりと舌を出した口からは鋭い牙がのぞく。
今は見えないが、手足には鋭い爪が隠れているのは想像に難くない。
とびかかられようなら重傷は免れない。

大人しくしているのが得策だと結論付けたエレンはフィランダーの背に視線を戻した。

「楽しそうですね。自分の娘や息子がやられるかもしれないというのに」

そうエレンが貧相な猫背に言葉を投げかけた。

「やられたとするならそれまでの子達だったという事さ。子供は親のために生まれてきて、親のために動くものだろう?彼らだって、きっと幸せなはずさ」
「…………やはり、貴方の考えは理解できない」

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