EGOIST
煙幕が晴れ、身動き取れずにいる2人と平然と立っているダンテを見た金髪の少女が顔をゆがめた。

「何をしているの!そんな格下にやられるなんて!」
「俺達だけのせいだっていうのか!」
「そうです。貴女がちゃんと指示をくれたらこんなことにはっ!」

ギャンギャンと3人が言い合いを始めた。
話している内容は物騒だが、喚き散らしている姿は子供の口喧嘩だ。
そんな3人の様子を静観していたダンテに、金髪の少女が鋭い視線を向けてきた。
だが、相変わらず動こうとはしない。

それを見て、自分の予想は外れてはいなかったことをダンテは確信した。

おそらく、あの金髪の少女は戦闘要員ではなく、司令塔のような役割を果たしているのだ。
あの眼鏡がウェアラブル端末になっており、それを使っていくつもの監視カメラの情報を瞬時に処理、それを何らかの方法で2人に伝えていた。
あの獣や人だった物が統率の取れた動きをしているのも、おそらくは彼女が制御しているからなのだろう。
それだけのことをやってしまえるというのは凄いことなのだが、2人が彼女から来る情報を頼っているということは、2人の五感は常人のそれと変わらないということになる。
ならば、金髪の少女が見ているであろう監視カメラの映像が正しい物でなくなれば2人は脅威ではなくなるということになる。

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