EGOIST
フィランダーはそれに嬉しそうに笑い、その手を取ろうとした。
だが、その直後彼の視界はグルリと周り、背中に何かに思いきりぶつかったような激痛が走る。

「テメェの息子になった覚えはねぇよ。クソジジィ」

そう悪態づいたが、フィランダーにそれに答える余裕はない。

「私を………どうするつもりだ」

そうようやく絞り出した。
エレンはゆっくりと彼に近づいた。

「然るべき処罰を受けていただきます」
「果たしてできるかな。何せ、私の力を欲している者は少なくないからね」

痛みに引きつってはいるものの、フィランダーの表情は笑っている。

「御心配には及びません。明日には、貴方は処刑台ですから」

エレンの言葉に、フィランダーの顔は痛みとは違う理由で引きつった。

「これは私の陛下の決定です。誰にも覆すことはできない。貴方が二度と日の下に出られぬよう、地獄への直通便乗っていただきます」

そうエレンは言い放った。
その表情に感情はない。

フィランダーはもう、何も言う気力もないようだった。




< 181 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop