EGOIST
ダンテは行きつけのバーで酒を飲みながら本日何度目か分からない溜息を1つついた。

フィランダーの件からそろそろ2ヶ月が経過する。
ダンテはなんの問題もなく日常に戻った。
戻ったのだが、あれ以降、エレンからもイアンからも連絡はない。

平和だという事なので大変いいことではあるのだが、これまで1ヶ月に1回は何かしらの連絡が来ていたので、この平和な日常がどうも落ち着かない物になりつつある。

「そんなに気になるなら連絡してみたらどうだい?」

そんなダンテを見かねた友人のカイル・ダウナーが苦笑しながら言った。
同じく友人で店のオーナーでもあるジョシュア・サンドフォードは何も言わないが、その苦笑した顔はカイルに同意しているように見える。

彼ら2人はフィランダーの事件で顔を合わせた被験者だ。
カイルとジョシュアは新しく作られた試作のデリットの投薬、ダンテは過去最悪と言われたアルマの心臓を移植され、ギルバートは成長促進薬と脳への刺激による身体強化とそれぞれが異なる実験の被験者とされていた。

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