EGOIST
警戒していた男達のちょうど真正面にある細い道。
そこから小さな影が出てきた。
小柄で細身。
短髪の中世的な顔立ちの人物。

男達は警戒を解いた。
なんだ、ただの子供ではないかと。
次いで、あの子供を人質にすれば逃げ切ることが可能かもしれないという考えが浮かぶ。

「丁度よかった。実は道に迷っちまって」
「もしよかったら道案内してもらえないか?」

そういいながら愛想の言い笑みを浮かべて近づく。
その人物はそんな男達に向けて、静かに笑みを浮かべて口を開いた。

「構いませんよ。暗い鉄格子の中へでしたらご案内できますよ」

そう、アルトトーンの声が静かに告げた。

その言葉に疑問を抱くより先に、男達の体に激痛が走る。

ある者は悲鳴を上げ、ある者は呻き、ある者は声すら上げられない。
そしてどの男も地面に倒れることとなる。

銃声が聞こえたわけではない。
だからと言って刃物が飛んできたわけでもない。
何が自分達を傷つけたのか、男達には分からなかった。

倒れた男が痛みをこらえ子供の方を見る。
子供は男達を静かに見下ろしていた。
すると、子供の横に静かに1人の男が現れた。

男達の表情が引きつる。
その男は、自分達を追いかけてきた男だった。
目深にかぶった上着のフードのせいで顔を確認することはかなわないが、間違えるわけがない。

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