EGOIST
ダンテは上着のポケットに入れていたスマートフォンを取り出した。
スリープ状態で何も映さない画面を眺め、そしてまたポケットにしまった。
何が正しいのか、どうすれば後悔しないのか、ダンテは決めかねていた。

と、その時ついさっき上着のポケットに戻したスマートフォンが着信音を発した。
ダンテの肩が大きく跳ねた。
慌ててスマートフォンを取り出し、ディスプレイを確認してこれでもかというほど嫌そうな顔をした。

「ちょっと出てくる」

そう言い残し、ダンテは席を離れた。

それと入れ違いにカイルが戻ってきた。

「どうしたんだい、凄い顔してたけど」

今しがたすれ違ったダンテが出て行ったドアのほうを見てカイルが尋ねる。

「私も詳しくは分からんが、彼があのような顔をする理由を、私は1つしか知らない」
「あー…………」

ジョシュアの言葉にカイルは思い至ることがあり、声を漏らす。




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