EGOIST
丈夫なガラスの壁。そこには数名の子供いた。
ある子供は眠り、ある子供は膝を抱えて俯き、ある子供はだらんと足を延ばして天井を仰いでいる。
子供の年齢は大体10歳前後と言ったところだろうか。

「で、あのお嬢さんに聞いた情報だとここは鍵がかかってないらしいが………」

そう言いながら、ダンテは扉に手をかけた。

「大丈夫です。もし開いてなくてもイアンに開けてもらうことは可能ですから」
「まぁ、そこは心配しちゃいないんだが」

さすがに鍵をかけていないということはあるまい、と思いつつダンテがドアノブをひねると、何の抵抗もなくドアが開いた。

「おいおいおい、いくらなんでも不用心すぎるだろ………」
「外から侵入されることを想定していないんでしょうね」

ダンテは呆れつつ扉を押し開けた。

部屋に入ると、殆どの子供達は視線こそ向けるがそれ以上の反応は示さない。
それ以上のことをする体力がないのか、はたまた全てを諦めているのか。
だが、その中で1人、怒気に満ちた目で2人を見る子供がいた。

子供は12歳くらいの少年だ。
少年はすぐそばにいた子供を背でかばうようにしている。
だが、それ以上のことはしてこない。
必死に2人をにらみ上げているが、その体は恐怖で震えている。

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