EGOIST

4

アンジェリカは細い道を走る。

エレンの言葉が気になり、雇い主である男の屋敷に向かってみると、そこにはスーツに身を包み、手には銃器を持った男達に包囲されていた。
屋敷内からは銃声と悲鳴が聞こえ、とてもではないが近づける状態ではなかった。

何が起こっているのか、理解することが出来なかった。
ただ、理解するより先にあの研究所が気になった。
だから、細い路地を通り、研究所に向かう。
途中、パンプスが脱げたが、そんなものにかまっている余裕などあるわけもなく、脱げていなかったもう片方を乱暴に脱ぎ、その場に放り投げて走った。

研究所に近づくにつれ、銃声が大きくなっていく。
後数メートルで路地から出る、というとき、その出口付近に2つの影が見えた。

1つは長身の男。
もう1つは小柄な少女。
そのどちらにも見覚えがあった。

男のほうは数日前、たまたま出会い、ハンカチを渡してくれた男。
少女は、昨日出会ったエレンである。

アンジェリカは足を止めた。

「あぁ、やはり来られたんですね」

そんな予感はしていました、とエレンは言った。

「今は近づかない方がいい。こわーいおっさん達がルール違反した愚か者に鉄拳制裁くらわしてる最中だからな」

そう語る男の口調は軽い。

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