EGOIST
まるで、3人の心を読んだかのような言葉を口にする。

こちらは3人で手には鉄パイプやバット。
対する相手はスマートフォンを持っているだけで丸腰。
恐れるに足らない、一発殴ってしまえば簡単にその息の根を止めてしまうような弱い存在のはずだ。
だというのに、男達は動けずにいた。
その理由は、男たち自身にも分からない。

「さて、では問題です。若い男が3人寄ってたかって弱い者いじめをしていました。いじめの対象は、人。さて、周りの人間は3人を正義と取りますか?悪と取りますか?」

そう静かに、少女は尋ねた。
考えずとも答えは見えている。
そんなの―――。

「黙れガキが!」

ガンッ、と。
鉄バットでアスファルトを叩く。
その音が静かな通りに響いた。

ここで普通ならばひるむところだろう。
だが、少女は表情1つ変えなかった。

「おやおや、感情的になるとは。どうやら貴方方は自分達がどちら側なのかを分かっておられるようですね」
「黙れって言ってるだろ!」

ガンッ
今度は別の男が鉄パイプでアスファルトを叩いた。
しかし、少女は相変わらず動じる様子がない。

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