EGOIST
「手間を取らせてすみません」

ここでようやくエレンがダンテのほうを見た。

「気にするな。このくらい手間でも何でもねぇよ」

そう軽い調子でダンテは言った。

「ま、報酬は晩飯ってことで」
「………それが目的ですよね?」
「いやぁ、なんのことだか」

アハハハ、とダンテは笑ってとぼけて見せる。
それにエレンは1つ息をつき、苦笑した。

「何が食べたいんですか。高い物は無理ですよ」
「大丈夫、大丈夫。最近見つけた店なんだが、良心的な値段で美味い店だから」

善は急げだとダンテはエレンの肩に腕を回した。
それに肩を竦めながらも、エレンはダンテの横に並んで歩きだした。




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