EGOIST
その記者に対して情報を渡した情報屋は、その手の仕事を始めて対して時間のたっていない若い男だ。
情報屋、と言っても便宜上そう呼んでいるだけで、実際その手の仕事を生業としているわけではないようだ。
イアンの言う「5年前」の情報を入手した方法は不明だが、それを渡す代わりに、現在のエレンの身辺の情報を記者から手に入れようしているらしい、ということが記載されていた。

「なんで自分で情報収集しないのかは謎なわけだが。というかその辺はどうでもよかったんで調べてない」

とイアンは付け足した。

記者が渡された情報もデータに含まれており、それを見たダンテは「よくもまぁ、こんなものを」とつぶやいた渋い顔をした。

「情報の受け渡しは週1。場所と時間は男のほうから連絡が行くっぽい。で、今回はここ」

そう言い、イアンはつい先ほど分かった情報を書いたメモをダンテに渡した。

「情報屋は生け捕り、記者はいい感じにしといてくれってさ」
「また大雑把な………」
「ま、殺さなきゃいいんじゃね?」

なんて物騒なことを言うイアンの声は言葉の内容に反して軽い。

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