EGOIST
「私達は真実が知りたいだけ。別にあの子をどうこうするつもりは」
「何が真実だ。あんな信憑性の欠片もない情報と、都市伝説なんて不確かなものから出た噂なんかのどこに真実がある。そんなもんはこうだったら面白いなんて言う自分勝手に作り上げた虚像だ。オタクらはただ、面白おかしく騒ぎ立てたいだけだろう」
「そんなこと「ないと言えるか?」

男の言葉に、アデラは答えられない。
メイナードも同様だ。
男の言うような感情がなかったかと、完全に否定することが彼らにはできないのだ。

あぁ、けれどと。
アデラは思う。

「………けど、1つだけ真実はあったわ」
「ふーん、どんな?」
「あの都市伝説はただの噂じゃなかったってこと。そうでなければ貴方みたいな人が動かないわ」

アデラの言葉に、男はすぐには反応を示さない。
これは当たったか。
そう思ったのだが―――。

「…………は、馬鹿じゃね」

と、男は言った。

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