「 好 き だ よ 」
「人すごいねえ」
「ね。 去年よりすごいんじゃない?」
あちらこちらとお祭り騒ぎ。
みんなもう自分のクラスのエリア関係なく見やすい位置に移動していて、改めて伝統種目だと実感する。
「あはは。みてみて、山セン立ちながら寝てる」
「え、どこ?……ふはっ、ほんとだ」
それからあっこが家から持ってきた双眼鏡でしばらく遊んでいたら、グラウンド中にキーン、とアナウンス音が鳴り響いた。
《お待たせいたしました!間もなく午後の部スタートです。
続いての競技は、皆さんお待ちかね、ブロック対抗リレーです。選手の方は───》
「キタキタ」
「きゃー!楽しみ」
はじまりのアナウンスが放送されると共に、周りの盛り上がり具合がより一層激しくなる。
去年はこんなふうに前の列で観戦なんてしなかったから、…うん、結構楽しみかも。
「はるくん、アンカー頑張ってねっ」
「はる、てめー手抜いたら炙るからな!」
唐突に、遠くのほうからぼんやりそんな声援が聞こえてきて、
宇多くんのことだな、と思う。
「炙られないように頑張ります」
おまけに宇多くんの楽しげなクリアな声も聞こえてきた。本当にアンカー、走るんだ。
じわじわ。 変な実感が湧いてくる。