××したいくらい、好き。
なぜだろう。
たった一人の人間の為に。
しかも出来損ないの私なんかのために、舌を噛んで死ぬなんてことできるはずないし…
―――冗談に決まってる。
そう思うのが普通のはずなのに。
目の前にいる彼…かいとくんは、それをいとも簡単にしてしまいそうな危うさがあったのだった。
「……だ、」
だめ。
そう言おうとしたときだった。
「か、海音君!僕、席変わる!!変わるからそんなことしないで!ね?」
あせあせと荷物をまとめ始めたショウマ君。
そんな彼に、かいとくんは今度は心からの笑みを見せる。
「ありがとうショウマ君!!」
それは、さっきのダークなオーラでも何でもなく。
無邪気に笑う、子供のようだった。