××したいくらい、好き。
だけど、だけど。
「ありがとう、ございます…」
初めて、なっちゃん以外の人に、普通の笑顔を向けることができた瞬間だった。
「……っ」
「…え???」
すっと、両手を広げるかいとくん。
そして床に手をつき、まるでクラウチングスタートのフォームをとった。
「今抱きしめるからそこにいて」
「どんな勢いで抱きしめるっつんだこのバカツキ バカイト!!」
太一君が、どこからか用意した巨大なハリセンで、勢いよくかいとくんの頭を叩く。
どっと笑いが巻き起こった。
「…、あはは……っ」
つられて、私も笑った。
初めて、人と話すことが楽しいって思えた。
そんな私を見て、なっちゃんも嬉しそうに笑ってくれてて。
それすらも嬉しく思えて。
あれだけ最悪な始まりでも、今は楽しいって思えるなんて。
なんだか不思議だね。