××したいくらい、好き。
「なんか、いつものかいとくんと雰囲気が違うね…」
柵をつかむ手に、力が少しずつ入っていくのがわかった。
ランニングを終え、今度はコート全部を使ってのアップをし始める。
かいとくんはなおもだるそうに動いていた。
……が。
「!!!」
刹那。
ばちっと、かいとくんと目が合ってしまった。
そしてかいとくんは、目に光を取り戻したかのように明るい笑顔で私に手を振ってきた。
「なになに?」
「え、今暁君あの子に手振ってなかった?」
「彼女??」
周りの女の子たちからの視線を受け、さらに小さくなる私。
うう、なんでそんなことするのよおお~……。
半ば涙目になりながら、再び練習を見る。
「わ……」
どうしたことだろう。
かいとくんの動きが、先ほどとはまるで違う。
ボールを使った練習も、まるで魔法のように股下を通したり背中側でドリブルをしたり…。
初めて見る真面目な表情。
「………」
くるくるとめまぐるしく変化していく練習メニューで部員たちが次々移動する中。
気づけば私は、ずっとかいとくんから視線を外せずにいたのでした。