はやく気づけ、バカ。
「あ、...えっと、桐谷くんのおすすめは何かな、と思って。」
視線がぶつかったときの桐谷くんの表情が、とてもやさしいもので。
私は、本当に桐谷くんに好いてもらっているんだ、とついに自覚してしまった。
(どうしよう、どうしよう)
と内心バクバクの私に彼が気づくはずもなく、
「あ、俺のおすすめはーーー」と話始めた。
その間も、心臓のバクバクが止まることはない。
(どうしよう...!?)
ーー誰かに好かれている、なんて自覚をしたのはこれが人生で初めてだ。
(今まで何度か告白されたことはあったけど...)
だけど、どこかそれが自分に起こっている出来事ではなく他の誰かに起こっているように思っていた。
だから、こんなに好意を示されていたら、どうすればいいのかわからない。
ーーそれに対する返事が決まっていたとしても。