はやく気づけ、バカ。


「長野さん長野さん。」
私がそう声を掛けると、長野さんはネックレスから私へと視線を移した。

「ん?どうしたの甘利ちゃん。」

「あの、どのくらいお付き合いなさってるんでしたっけ?ネックレス、プレゼントですよね?」

私がそう尋ねると先ほどとは打って変わって、少し顔を赤くして答えた。

「...そうなんだよね。今月の二十日で1年半。」

(えっ、長いなぁ...羨ましい。)

「えっ、すごいですね!」
素直に思ったことを伝えると少し照れくさそうにしながら「ありがとう。」といった。

その長野さんの表情に少しどきっとした。


(かっわいいところあるなぁ...桐谷くんといい、長野さんといい...)

結構なイケメン+(ぷらす)ギャップ萌えでも狙ってるの?とでも悪態付きたいくらい。

(忘れてたけど...長野さんって結構なイケメンだから、彼女さんともすごく釣り合ってるなぁ)


長野さんの顔を見つめてそう思っていると、「あ~~!」と長野さんがいきなり声を上げた。

(え、なに!?)

そう思うと同時に長野さんがぽつり、「はっずかし。」と手に持つネックレスが入った袋を見ながら言った。


「ふふっ。」
それを見て少し笑いがこぼれると今度は、と言わんばかりに長野さんが私に尋ねてきた。



< 89 / 139 >

この作品をシェア

pagetop