はやく気づけ、バカ。
「ね、甘利ちゃん最近桐谷とどうなの?」
その質問にタイムリー!!と心の中でツッコミを入れながら、「...え?なんのことですか?」と返す。
(...え?長野さんなにか知ってるの?)
「とぼけちゃだめだって甘利ちゃん。」
そう言う長野さんの顔はイタズラっ子のような表情をしている。
(これは...)
やばい、と一瞬で悟った。それと同時に長野さんの言葉が耳に入った。
「総務部ではわりと有名だよ?桐谷が甘利ちゃんのこと好きだって。」
「...!?」
「え、その顔本当に知らなかったの?」
随分と間抜けな顔をしている私に、これまた私に劣るでもない驚き顔の長野さん。
(...いや、元の差で負けてるか。)
そう考えると心の中ではは、と乾いた笑いがわいた。
「いや、しってはいた...というか言われた?んですけど...。」
(私がよっぽど自意識過剰だとか勘違いやろうじゃなかったらあの時の...)
私がそういうと更に驚いた顔で言う長野さん。
「え、甘利ちゃんはオッケーしないの?」
的確に私が答えたくない質問をした。
「え...あ、はい、そうですね...。」
しどろもどろにそう答えるとこれまた、驚きの表情。
「え、なんで?甘利ちゃん桐谷くんじゃ満足できないとか...?」
そうすると今度は全くの的外れな答えを言った。
「えっ違いますよ!いや、大体私が選ぶなんておこがましすぎますよ。」
焦ってそう否定すると今度は私の顔をみつめ、残念そうな表情をするとぽつりと一言。
「甘利ちゃん...。」
「?なんですか?」
とても神妙な顔をしてそうつぶやいたものだから、何かあるのかと思って尋ねてみると「なんでもないよ。」の返答。